ももの天然水
「…ごめん、急に。」

震えた声…。

「…いやだ。カッコ悪いけど、情けないけど、泣きすがってでも別れたくない。」

「うちも、別れたくないよ。でも、ごめん。」

「なんで?俺、直すから!」

「友哉くんに、欠点なんてないよ。うちが、ダメダメだから。」

紗優に欠点なんてない。

俺の自分勝手だってわかってる。

ただ、そばに紗優の存在がほしい。

「紗優なら、大丈夫だよ。」

安心してほしくて言った言葉が、紗優を傷つけた。

「友哉くんには、なにもわからないよ!うちは、みんなが思ってるほど器用じゃないの!そんな理想を押しつけないで!」

涙を流しながら、大きな声で、怒る。

こんな紗優、初めてだった…。

「でも、紗優は、」

「もう、期待が、怖いの!もう、嫌なの!……終わりにしよ。さよなら。」

俺に背をむけて走り去る。

追いかけてとめるべきだ。

そう思ったけど、できなかった。

体が動かない。
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