恋愛事情。
1.愛しのダーリン



午後3時。


『――もしもし』

「あ、やっと繋がった」

『悪い悪い。いつの間にか電源切れてたっぽい』


チラリと二人の顔を盗み見る。

彼の方は、笑みを絶やさずにいるが、彼女の方は、だいぶ不機嫌だ。
アイスコーヒーのストローを弄りながら、私の方をジロリと睨んでいる。



「2時半に約束していたよね?」

『んー? なんて? 聞こえない』


――流行りのJ-popだろうか?
電話口では、ガヤガヤと騒がしい音が聞こえる。


「今、どこなの」


移動したのだろう。
少しばかり雑音が聞こえにくくなった。


『ゲーセン』

「ゲッ……」


思わず大きな声が出そうになる。
二人が怪訝そうに見つめてきたので、慌ててトーンを落とす。



「2時半に、カフェで会おうって約束したよね? ほら、私の友達カップルが悠斗に会いたいって……」

『あ、忘れてた』

「……まぁ、でしょうね」




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