黄金時間が過ぎるまで〜番外編

「あ、そういえば携帯、行方不明だった…」

「さがせよ！」

「あはは…後でちゃんと説明するから」

「なーるーみー」

鳴海は気にせず、千歳と電話を代わった。

「…もしもし…花園？」

「千歳？」

「うん、携帯ありがとう」

「えへへ、良かった…ってゆーか、どうしてそこに鳴海がいるの？」

「…良く分からない、教えてくれないし…それより私は、花園と鳴海がメル友だった事の方が、ナゾなんだけど…二人に接点てあったっけ？」

「あー、それかぁ…うーん実はね千歳…え？早くしろって？…うん分かった。あ、ゴメン千歳、オレこれからリハーサルなんだ。後で電話するよ、じゃ」

″ツー…ツー…ツー″

いきなり通話が途絶えた。千歳は仕方なく電源を切る…

「…花園なんだって？」

「…切られた…また電話するって」

「そっか…」

結局いくつかのナゾを残したまま、ますます釈然としない千歳であった。

鳴海に聞いても、まともに答えてもらえないだろうし…


雪は相変わらず降っている…

オーブンのタイマーの切れる音が、静かな店内に鳴り響いた。

Fin