海賊王子ヒースコート(1)



 爽やかな春風が開け放たれた窓から、室内へと入ってくる。

清潔感あふれる白い部屋の主は、少し癖のある長い髪をくしでとかしながら歌を歌っていた。


「人の子として生まれ…愛を知った」


そよ風が、歌う少女の金髪を優しく撫でる。


「生きる喜びを知り…悲しみを知った」


ゆったりとした短調のメロディーを口ずさみ、手を動かす。



「アイリーン、またその歌を?」


気持ち良く歌っていた少女、アイリーンは兄の声に歌をやめた。


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