荒れ球リリーバー
試合はそのまま五対三で、誠一郎の所属球団が勝利した。

華子ちゃんと別れ、家路へ急ぐ帰り道。

スマホの画面が、着信を知らせる。

「もしもし」

「俺だけど」

スマホの画面をダブルタップして、耳に当てた。

聞こえて来た有名な詐欺を連想させるセリフに
「詐欺なら、お断りしてます」と返す。

すると、電話の向こう側から「詐欺じゃねーし」と苦笑する声が漏れる。

「来てくれて、ありがとな」

「別に。セイの事、見に行ったわけじゃないし」

実際にはユリの始球式そっちのけで、誠一郎に夢中だったくせに。

我ながら、実に可愛くない。

「でも、俺は志乃が来てくれて嬉しかったし。頑張れた」

私とはあまりにも正反対で真っ直ぐなその言葉に、かなりときめく。
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