荒れ球リリーバー
どれどれと覗き込んだ指先には、選手の顔写真が掲載されてた。

見覚えのあるその顔に、思わず固まる。

「女性受けイイらしいけど、知ってる?」

「さぁ…名前ぐらいなら知ってますけど…」

「生まれた時からベッドの中まで知り尽くしてます」とは、まさか答える事も出来ない。

さも知らないふりをして、小さく笑みを浮かべた。

須永先生の注目選手は、間違いなく私の脳内八割を占める男。

高岡誠一郎だった。

「ノーコンで女癖悪いけど」

ノーコンでなく荒れ球です。

女癖は確かに超絶悪いです。

心の中で須永先生の言葉に、つっこんだり同意したりする。

「良いピッチャーなんだ」

どれだけ浮気はされど、誠一郎が誉められるのは自分の事のように嬉しい。

知らず知らずの内に口元が綻んだ。

「でも、今日は見れそうもないかな」

須永先生の言葉に、電工掲示板を見る。
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