【完】I LOVE YOUが言えるまで

従業員出口から外に出る。


『外はまだまだ寒いな…。札幌は…』


と呟き歩き出した。


「美緒さん」


『ん?誰か呼んだ?』


名前を呼ばれた気がして振り向いてみた美緒


外套の灯りの中に映っていたのは高倉。


『何でこんなところに居るの!』


と驚いた後にはこの一言。


『私にこの間のことの謝罪を言わせたい訳』


と冷たい言葉を突き付け、美緒は高倉にクルリと背を向け歩き出した。


「美緒さぁーん!
美緒さん、俺の話を聞いて下さい。
お願いします」


大きな声で叫ぶ高倉の声に、美緒は振り向く


高倉は深々と頭を下げていた。


「お願いします。
俺の話を聞いて下さい。
俺は美緒さんに謝ってもらおうなんて思ってません。
俺の話を聞いて欲しいんです」


高倉は頭を下げたまま、何度も何度も必死に頼む高倉に、美緒の心は揺れていた…。


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