【完】I LOVE YOUが言えるまで
美緒がリビングに入ると、父はソファーに座っていた。
「おー、美緒お帰り。久しぶりだな」
実家に帰って来ると、父はいつも同じ言葉を最初に掛ける。
『ただいま、遅くなってごめんね』
「美緒、荷物ここに置くね。
今すぐにご飯の用意するから待ってて」
と母が美緒と父の話をさえぎる。
『分かった、なんか手伝おうか』
と美緒は母に声を掛けてみる。
「大丈夫、すぐに出来るから」
母がこうゆうことは分かっていた。
『お父さん、明日から出張なんだって』
と美緒は父に話掛ける。
すると父は小さな声で美緒に言った。
「美緒悪かったな、お母さんの頼み聞いてくれて。
仕事忙しいから、自分の家の方が良かったよな」
父の優しさは変わらない。