片想い




「少しだけこのままでいて欲しい。」



そう言った敏輝の声は、かすかに震えていた。菜月は、急なことでびっくりしたが、最後に顔が見たいと思い、振り向いた時、敏輝の目は赤くなり、涙で潤んでいた。敏輝のその顔を見た時、菜月は正面から抱きつき、自分も溢れる想いが涙として表れた。2人とも自分の想いをぶつけるかのように、強く抱きしめた。



そして、菜月は、泣きやんだ後、敏輝を見上げて言った。



「敏輝、ありがとう。元気でね。」



「菜月も」



こうして、2人は、自分の想いを口にすることなく別れた。










菜月にとって、この想いは、永遠に忘れなれない片思いとなった。


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