社長と極上の生活
ダメだ………。
全然、人の話を聞いてないよ。
もう、どうしたらいいんだろう。
………あっ!!
「要が払ってくれるんだよね?」
「ん、当たり前だろ」
「じゃあ、ハンカチとメモだけにする」
そうよ!!
これならバッグも要らないし。
さすがにスーツ姿の要に
女性用のバッグを持たせる訳には…。
車内にバッグを置いて、
念のためにその上にひざ掛けをかけて。
車上荒らしに遭ったら大変だもんね。
要の車には、いつでも私が乗っても良いように
ひざ掛けを用意してくれている。
彼のそんな気遣いが嬉しくて
つい、過保護な彼を許してしまう……私。
バンッ―――――――
「杏花、行こう」
「うん」
ドアを閉めた私にそっと手を差し出す彼。
私は指を絡めて彼の腕に寄り添った。