赤い月 終

景時の正面ではなく、所謂カウンセリングポジションにあるカウチに座った黒曜が、徐に口を開いた。


「紅玉は戻ったのか?
おまえンチのジーサン、ビビってねぇか?」


「ううん、全然。
家出してた嫁が帰ってきたレベルで、喜んでるよ。」


「まじ?
ジジィも面白ェな。」


景時の答えを聞いて一瞬目を丸くした黒曜だったが、すぐに苦笑しながらコーヒーを一口飲んだ。



ん?
ちょっと待って?

『戻ったのか?』って…


「あれ?
うさちゃん、ココにいたンじゃねーの?」


景時は目を瞬かせながら、黒曜に訊ねた。


「いや。
あの後、夜が明けたら出てった。
月を追っかけてたンだろ。」


Yes!

黒曜と、ずっと一緒にいたワケじゃねぇンだ。

Yes Yes!!

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