赤い月 終
もう声を上げる者もいなくなった、静寂に包まれた屋敷。
全身を返り血で赤く染めた鬼は、最後に男の前に立ちました。
寝所で震えていた男の片目を抉り取り、一舐めした鬼は言いました。
─貴様が鬼と恐れたのは、貴様
を愛したただの女。
貴様が鬼と恐れたのは、貴様
の血を引くただの幼子。
妾こそが本物の鬼。
しかと胸に刻み、永久に救わ
れぬ魂となるが良い。
言葉と共に、恐怖と共に、もぎとられる男の足。
涙を流しながら鬼に背を向けた男は、血溜まりを這いながら、必死で何かに手を伸ばして呟きました。