赤い月 終

マンションの屋上に通じる階段を駆け上がる。

深呼吸を一つ。

ドアノブを回すと、そこには…


「遅いぞ、景時。」


美しい夜景を背にした、さらに美しい鬼が振り向いた。


「うさぎ…」


あー…
やっぱ綺麗だ。

何度見ても、心臓がこう‥‥‥ギュゥってなる。

彼女は、秋時が用意した新しい着物を纏っていた。

色は、赤。

景時が、どーしても、と主張したのだ。

やっぱうさぎはこーでなきゃ。


「どうした、ゆかぬのか?」


ボーっと突っ立ったまま見惚れる景時に、首を傾げたうさぎが声をかける。

行くよ。

君と一緒なら、ドコへだって。


「行こう。」


景時はとびきり甘い笑顔を見せて、うさぎの手を取った。

いつまでも。

どこまでも。

二人一緒なら。

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