戸田くんの取り扱い説明書




2人きりになった私と戸田くん。



「あのー…戸田くん。なんでこんなところでティッシュ配りなんかしてるんですか?」


「なんでって、バイト」


「え、これが…?」


「だから言ったじゃん」



嘘嘘っ!

戸田くんのことだから、もっと華やかな、洒落たカフェとかでバイトかと………



意外すぎるよ戸田くん!



「あーそれより、コレ手伝って。今日これ全部配んないと帰れないから」


「えっ、戸田くんだけで十分だと思いますけど…」


「いーから。早く」


「はっ、ハイ!」



岡田さんは、片手にカレーの材料、片手にティッシュ、というなんとも不思議な格好でティッシュ配りをしたのでした。







ーーー数日後。


「大量にティッシュもらったんだけどいるよね」


「え、なんでもうもらわなきゃダメみたいになってるんですか」


「1ヶ月お疲れってことで、大量にもらった」


「バイト辞めたんですか?」


「当たり前。あんな女に囲まれたら無理だし疲れるし」


「え、えー……じ、じゃあ2、3個もらいます」


「じゃあ追加で実里の家のポストに50個くらい入れとく」


「きゃあぁぁぁぁやめてくださいっ!!」



< 35 / 51 >

この作品をシェア

pagetop