アポロチョコ

平日の放課後は山野家と山之辺家の家事で忙しい霧子。

あたしの部活動を気にはしてくれていたけれど、結局あたしがしっかりするしか方法は無い訳で。

流されず、飲み込まれず、自分をしっかり持てよ! と自分に言い聞かせていた。

「そろそろ迎えに来る頃だなぁ」

と霧子が言うと、ホントに玄関のチャイムが鳴った。

「お前ら、ホント、もう夫婦の域じゃね?」

「そんなことない。

プライバシーは確保してるし、わたし達まだ若いんだもの、未来は未知数だよ。

咲も来る? 今晩はハンバーグだよ」

霧子は毎日、山之辺宅で夕食を作っているのだ。

母を事故で亡くした山之辺のまだ小さい妹由紀ちゃんの為に。

山之辺が絶対の信頼を霧子に抱いているのも、分かる気がする。
< 43 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop