“またね。”

プレゼント


街にネオンが輝く季節、なんてよく聞くけど

菜摘の街は田舎だから、イルミネーションなんて駅前くらい。

彼氏はいないし、特にパーティーする予定もないし、学校だってあるし

クリスマスらしいことなんて何もない。

唯一あるとしたら、家のケーキとご馳走くらい。



…大ちゃんは

彼女とどこか行ったのかな。



ただ、その日

他校の男の子に告白された。

驚いたけど、もちろん断った。



『ごめんね。菜摘、めちゃくちゃ好きな人がいるから』



もう軽い女はおしまい。

大ちゃんが好きだから。

好きな人だけを想いたい。



この時は、その自信があったんだ。

根拠のない自信が。


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