“またね。”
やっぱり菜摘は最低だ。

『2人は別れるかな』なんて、平然と考えてる。

「いや、ダメだろ!誘ったのは俺だし、菜摘がなんか言われんのはダメ。とりあえず今日は帰ろ?ごめんね」

そう言ってくれるのは嬉しい。

でも…

「菜摘、大丈夫だからさ。彼女いること知ってて遊んだ菜摘も悪いよ」

大ちゃんだけ怒られるなんて、そんなの間違ってる。

それに、こんな状況になっても、まだ一緒にいたかった。



だって―

次はいつ会えるの?



もう少し。

お願いだから、もう少しだけ。



大ちゃんは困ったように菜摘の手を取り、向かい合う態勢になった。

「菜摘はいいから。ちゃんと守るし、俺は大丈夫だよ。ね?」

優しく微笑むから

優しく髪に触れるから

何も言えなくなる。

「…うん。わかった」

俯くと、大ちゃんは菜摘の頭にポンと手を乗せた。

いつも安心させられるはずの大きな手は、菜摘を不安にさせた。

「いい子じゃん。心配しないでね」



『行かないで』

『また会えるよね?』
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