“またね。”

体育祭

「じゃあなっつで決まりね!」

「やだ!絶対やだっ!」

「もう決まっちゃったもん。しょうがないよ」

入学してから初めてのイベント、体育祭。

体育祭のトリを飾るのは、定番のクラス対抗400メートルリレー。

その400メートルリレーで、菜摘は見事アンカーに大抜擢された。

「絶対無理!そんなに速くないし!」

運動は大好きだし得意だけどアンカーなんてありえない。

「もう書いちゃったし、なっつしかいないもん」

理緒の手には『400メートルリレー選手』と大きく書かれたプリント。

アンカーの欄には、女の子らしく可愛い文字で『高山菜摘』と書いてある。

名前の隣にはご丁寧に似顔絵まで。

「ほんと嫌!菜摘サボるよっ」

菜摘の出る種目。

バレー、卓球、バスケ、バドミントン。

…ほぼ全部。

「なっつ、頑張ってね!」

大きすぎるプレッシャーは、由貴のたった一言で片付けられた。

名前を書いた紙も無理矢理提出されちゃったし、もう素直に頷くしかなかった。
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