“またね。”

2人の距離

その日は体育祭以上に、朝から大忙しだった。

年に1度の学校祭。

この高校は元々校則が緩いせいもあってか、盛り上がり方が半端じゃない。

体育祭と同様ヤマンバギャルもいるし、わざわざ金髪にしてくる人たちもたくさんいる。

それに便乗して、浴衣を派手に着こなした。

麻衣子に髪をセットしてもらい、由貴に着付けをしてもらう。

ギャルに変身して、4人ではしゃいでいた。



朝イチでクラス対抗歌合戦。

麻衣子と一緒に出場して、白々しく『お疲れ』なんて冷やかしにきた植木くんたちを見て、あることに気付いた。

「ねぇ、大ちゃんは?」

辺りを見渡しても大ちゃんがいない。

ついさっきまでは、植木くんの横で見てくれてたのに。

「あいつ出店担当だから行ったよ。なんか買いに行ってやれば?」

駿くんの言葉に納得する。

出店担当なんて大ちゃんらしい。

「なに売ってんの?」

「唐揚げと焼きそば」

「両方好き!行く!」



─大ちゃんに会えるなら、嫌いな物でも行ったけど

理由を作らなきゃいけないと思ったから。

悟られないよう必死になりすぎてた。

“ただの友達”なら、理由なんかなくてもいいのに。
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