“またね。”
第5章+偽りの代償+

突然の変化

それから1ヶ月が過ぎ、少し肌寒くなってきた9月中旬。

2ヶ月記念日は、約束通りネックレスをくれた。

喜べなかったのは―



「菜摘」

そっと名前を呼ばれたら、それは“合図”。

そのままベッドに押し倒される。



最近ずっと、こればっかり。

会う時は亮介の部屋。

少し話して、すぐにベッドの中。

それの繰り返し。

正直、嫌で嫌でしょうがなかった。

もともと菜摘はセックスがあまり好きじゃない。

女は寂しさをごまかして、男は性欲を満たすだけの行為だと思ってたから。

まだ16歳の菜摘が、多くない経験から出した結論だ。

ただ“する”だけの行為を、亮介にしてほしくなかった。

亮介には大事にしてほしかった。

大事にされてるって、実感させ続けてほしかった。

自分はちっとも大事にしてないくせに。



あの日─

初めて体を重ねてから、ずっとこうなんだ。



「菜摘、愛してるよ」



セックスの最中に言われたって、ちっとも嬉しくない。

『愛してる』って

セックスにそんな台詞いらない。

でも卑怯な菜摘は、求められても絶対に断らなかった。

拒否できなかった。



そして、もう1つの変化。
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