“またね。”

冷たい手

12月に入ると、ホームページでの悪口はピークだった。

覗けば必ず書かれている中傷。

個人名のスレッドも立っていたりして、何度消しても無駄。

本当に悲惨だった。

「なっつ!これ見た!?」

休み時間。

携帯を持ち、菜摘に画面を向ける由貴。

熟睡していた菜摘は、机から顔を上げて少しだけ内容に目を通す。

「んー…さっき見た」

あまりにも中傷が絶えないから、もう『暇潰し』から『日課』になっていた。

特に菜摘たちの中傷がひどかったから。



最近よく見る内容。

《亮介、浮気してるよ》

《あたしヤッたもん》

《なつみ可哀想》

そんなのばっかり。



「これマジ!?」

「わかんない」

理緒の鏡を借りて、乱れた髪を手ぐしで直す。

「そっかあ…」

携帯を閉じて暖房の前に座る由貴。

もういい加減にしてほしい。

『可哀想』?

ふざけんなよ、楽しんでるくせに。

『いい気味だ』って思ってるくせに。

本当に嫌で、ただただ、早く流行が去って落ち着くことを願っていた。

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