“またね。”

本当の気持ち

12月24日。

クリスマスイブの朝は、とても賑わっていた。

「由貴、誰と過ごそう」

「あたしもー」

由貴と麻衣子が同時にため息を吐く。

彼氏がいない2人は、12月に入った頃からずっとこう繰り返していた。

「なっつは?亮介と過ごすの?」

バーバリーのマフラーを巻き直しながら理緒が言う。

「うん。さすがにクリスマスだしね」

仮にもカップルだし、クリスマスは一緒に過ごそうと約束している。

まあ通常通り学校があるわけだから、亮介の家で遊ぶだけなんだけど。

「いいなあ。由貴も彼氏ほしい!」

暖房の前で駄々をこねる由貴を、麻衣子が『よしよし』と慰める。

理緒ももちろん彼氏と過ごす予定。

幸せそうに微笑む理緒が、少し羨ましい。

「一緒に過ごすってことは、うまくいってんの?」

微笑む由貴に、少しドキッとした。

一時期に比べたら今は順調だと思う。

でも─

『うまくいってる』わけがない。

「あ…うん。まあね」

「よかったね!」

由貴の笑顔を見たら、正直に言うことなんかできなかった。



だって由貴は

2人のことを、誰よりも応援してくれているから。
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