“またね。”

賭け

1人で近くのコンビニへ行き、迎えを待った。

数分後、大ちゃんはすぐにきた。

「菜摘」

いつものように名前を呼ぶ声。

助手席に乗り込むと、久しぶりの甘い香りに胸が高鳴るのを感じた。



「久しぶりだね」

「うん、久しぶり。元気してた?」

元気じゃないよ。

苦しくて、切なかった。

会いたくてたまらなかった。

「元気だよ。今日はどこ行く?」

すごく緊張していたけれど、できるだけ平然を装う。

ねぇ、大ちゃんは元気だった?

『菜摘に会いたい』と、少しでも思ってくれた?

菜摘のことを、少しでも考えてくれた?

「俺あそこ行きたい。こないだ菜摘と行った夜景スポット」

菜摘も行きたかったからすぐに決まった。

コンビニで飲み物を買い、夜景スポットへ向かう。



本音なんて、ひとつも言えないまま。

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