“またね。”

最後の夜

大ちゃんの『お願い』は至って簡単で、少し不思議なものだった。

─『一緒に海行こう』─

何を言われてもいいよう覚悟していたのに、予想していたどれとも違う内容に驚いて、とんでもないアホ面をしてしまった。



海?

どうして?



聞きたいことは山程あるけど、何も聞かなかった。

どうせ何も言ってくれないから。

『いいよ』

大ちゃんが『よかった』と呟いた。

『来週の休みに連絡する』と言った大ちゃんに『わかった』と答える。

『ほんとにわかってんのかよ』と笑う大ちゃんが好き。



わからないよ。

何もわからない。

どうしてそんなに寂しそうな目をしているのかも

それでも優しい手の意味も。



でも、ちゃんとわかってる。

『ほんとにわかってんのかよ』の意味。

これからの、2人の未来。

この2年間の結末。

わかってるから─



─『待ってるね』─



ずっとずっと、待ってるから。

あなたは1人じゃないよ。

いつまでも

いつまでも

私は、待ってるからね。

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