“またね。”
「またね」

世界で1番大好きな一言が、とても寂しく響いた。

「うん。またね」

キスを交わす。

車を見送った時、わかったんだ。



─『夏になったら、ラベンダー畑でも連れてってやるよ』─

嘘つき。

─『菜摘とは切りたくない』─

嘘つき。

─『またね』─

嘘つき。



そんなの嘘じゃない。

この恋に、未来なんてないじゃない。

わかってるくせに。

大ちゃんが1番よくわかってるくせに。

それはきっと、大ちゃんの優しさ。



でも、お願い。

『さよなら』なんて言葉は言わないで。

何よりも聞きたくない。

だから言わないで─



わかってる。

─『またね』─

『また』があるなら

きっと、それが最後の日。

きっともう『またね』は聞けない。



いつからだろう。

わからないことも、わかるようになったのは。

いつからだろう。

わかりたくないことを、わかってしまうようになったのは。



どんなに願っても

叶わない願いもある。

どんなに祈っても

届かない祈りもある。

どんなに愛していても

結ばれないこともある。



わかりたくなかったよ。

気付きたくなかった。



この先には『終わり』しかないなんて

そんな、あまりにも残酷すぎる現実に。



< 366 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop