10年後も…〜song for you〜
真琴は、カメラを空に向けている。
真琴の横顔だけが、俺の視界を捕らえる。
ゆっくりと近づいていると、猫の鳴き声に、真琴がこっちを向き、俺に気付いた。
最初は、驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
そうだ、この笑顔だ…。
真琴の笑顔が俺のボロボロになった心を治してくれる。
「健、もう絵里さんに会ってきたの?」
「…うん。あいつ、仕事が急に入ったから」
「そっかぁ」
「お前は、相変わらずそれか?」
俺はカメラを指差した。
「そうよ。散歩して写真撮ってたの」
真琴は、深呼吸をした。
「雨やんでよかった…」
そう言って、真琴は再び空を見上げた。