10年後も…〜song for you〜
「もう一曲聴きたい!あれ聴きたい!ほら、なんだっけ?真琴が好きな曲」
桐谷が、真琴を見た。
真琴の視線が俺から桐谷に移る。
俺は、息を吐き弦を鳴らした。
真琴の視線が俺に戻った。
スタンドバイミー。
真琴が好きなこの曲を、俺は弾き始めた。
「そう!これこれ!」
桐谷の声が響く。
真琴はただ黙って俺に視線を送る。
弦を押さえた指に力が入る。
少し緊張してしまっている。
俺がメロディを奏で歌い出すと、一緒に歌う声が聞こえてきた。
真琴だとすぐ分かった。