10年後も…〜song for you〜

気付けば、コテージの裏の方にある桜の木の下まで来ていた。


桜の木を見上げた。



この桜も山桜?



優しく微笑んでくれている気がする…。







「真琴…」


その声にハッとして、振り返った。



「晴人くん…」


晴人くんがいつのまにか、後ろに立っていた。



もしかして、私の後を追って…?




晴人くんが私を見つめる。



私は、涙を拭いながら、精いっぱい言葉を振り絞った。


「ごめんね…あたし…こんな急に」



その時、晴人が近付いて、力いっぱいに私を抱きしめてきた。



「泣くなよ。俺、真琴の涙見たくない。俺のこと以外で泣くお前みたくない」



なんだか、いつもの晴人くんと違った。



私の両手は、晴人くんを抱きしめ返すことが出来ないでいた。





< 266 / 508 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop