10年後も…〜song for you〜
気付けば、コテージの裏の方にある桜の木の下まで来ていた。
桜の木を見上げた。
この桜も山桜?
優しく微笑んでくれている気がする…。
「真琴…」
その声にハッとして、振り返った。
「晴人くん…」
晴人くんがいつのまにか、後ろに立っていた。
もしかして、私の後を追って…?
晴人くんが私を見つめる。
私は、涙を拭いながら、精いっぱい言葉を振り絞った。
「ごめんね…あたし…こんな急に」
その時、晴人が近付いて、力いっぱいに私を抱きしめてきた。
「泣くなよ。俺、真琴の涙見たくない。俺のこと以外で泣くお前みたくない」
なんだか、いつもの晴人くんと違った。
私の両手は、晴人くんを抱きしめ返すことが出来ないでいた。