10年後も…〜song for you〜

帰りの車内、みんな黙っている。



車のエンジン音とデッキから流れてる有線ラジオが車内で響いていた。


海岸線の道を走っていると、夕日が海の向こうに沈み始めていた。


海が夕焼け色に染まっていてすごく綺麗だ。



「綺麗な夕日だね」


絵里さんの一言で、みんなが口を開き始めた。


「なぁ?また夏くらいにバーベキューしようぜ!」


「いいね!海岸でバーベキューしたいね!花火もしたいな」


祐樹くんと夏美が声を上げた。



「ぜひまたやりましょう!」

晴人くんがにっこりとうなづいた。



私は、振りかえってみんなを見た。




夏美も祐樹くんも笑顔で話している。



絵里さんも私と目が合うと、にっこりと笑って、

「 真琴ちゃん、お仕事頑張ってね。またみんなでバーベキューしよう」


そう言ってくれた。



隣に居る健に目を移すと、そんな私達を他所にずっと窓の外の夕日を黙って見つめていた。



私は、前に向き直し、夕日を一枚だけ写真に収めた。






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