10年後も…〜song for you〜
「健くん、来ちゃった!真琴は?」
お袋さんがいたずらっぽく笑っている。
「あ、もう先に行ってー」
グランドの先の方に目を向けて指さすと、真琴が恥ずかしそうにこっちを見ていた。
俺はそんな真琴の姿に、またもフっと笑うと、親父さんが俺の背中を叩いた。
「健…男同士で話がある!母さん、ちょっと席をはずしてくれるか?あ、前山くんも」
「はいはい。お手洗いに行ってきます」
そう言うとお袋さんは、トイレの方に向かって行った。
祐樹も親父さんの迫力に押され、
「あ、はい。じゃあ俺先に行ってるわ!」
と、俺と親父さんを置いて先に行ってしまった。