10年後も…〜song for you〜
【現在】
あの体育祭の頃から、すでに親父さんは病と闘っていたことを知ったのはその後ずいぶん経ってからだった。
親父さんと交わした何気ない約束。
あいつを、真琴を幸せにすると誓った約束。
親父さん…ごめん…
俺ももうダメみたいだ…。
「親父さん…でも真琴には俺なんかよりふさわしいやつがいるんです。だから、安心してください」
涙が止まらない。
本当は、俺が幸せにしてあげたい。
他のやつに任せるなんて嫌だ!
でも、もう今はそんなことを言える立場じゃない。
あいつが幸せになるなら、俺じゃなくても良いんだ…。
他のやつでも、
晴人でも…。
ただ、親父さんとの約束が果たせなくて、悔しくて仕方ない。
俺は、深々と頭を下げた。