10年後も…〜song for you〜
一週間後、大学病院に移った。
ベットからぼんやりと外を眺めていると、
「健。おはよう」
絵里が笑顔でお見舞いに来た。
絵里はあの日から、毎日逢いに来てくれていた。
俺が、仕事も忙しいだろうから無理して来なくていいっと言うと、もう彼女じゃないけど、友達だから来るのは当たり前と言った。
そんな絵里の言葉に胸が痛む。
俺は絵里をたくさん傷つけたのに…。
「絵里ごめんな…」
「また謝ってるし!もう聞き飽きた!ごめんは無しだって言ってるでしょ?」
「うん…ごめ」
「あー!ほら、また」
絵里はフっと笑った。
「健…具合どう?キツかったら、あたし黙ってるけど?」
「うん、今は薬で落ち着いてるし、大丈夫」
「そっか!」
絵里がにっこり笑って、バックから雑誌を取り出した。
「見て!健!あたしがカットしたのがまた雑誌に載ったんだよ」
絵里が楽しそうに話す姿に、気持ちが晴れていく。
絵里には感謝の気持ちでいっぱいになった。
だが、それと同時に真琴のことが頭から離れない俺は、上手く笑えていなかった。
その事に、絵里は気づいているみたいだったが、何も言わなかった。