10年後も…〜song for you〜
黙って聞いていた真琴がゆっくりと口を開き始めた。
「どうして?どうして幸せに出来ないって決めつけるの?」
真琴がじっと見つめる。
「言ったでしょ?あたしの幸せには健がいないとダメなの。健があたしの為についた嘘なら…それは違う。やっぱり本当のことを言って欲しかった。一緒に病気と闘いたいの。健の苦しみを分け合うことは出来ないけど、少しでも気持ちを軽くしたいの。健のそばに居たいの…それがあたしの幸せなの」
そう言った真琴は優しく微笑んだ。
「それに、あたしは信じてる。廣川健は、病気なんかに負けないって!」
真琴…。
「お願いだから約束して。もう嘘はつかない、もう急に居なくなったりしないって…」
「…ありがとう、真琴」
俺は頷いた。
「あたしも正直、まだ現実を受け止めるのに時間が掛かるかも知れないけど、健がそばに居てくれれば、それでいいの。2人で乗り越えて行こう」