StratumRoman~積み重なる物語~
私は泣いているのに


お兄ちゃんはお通夜や葬式の時には


涙一つ見せず


いつものお兄ちゃんとは違う、キリッとした表情へ立っていた


葬式に参加した人は


「流石、お兄ちゃんね」


「強いわね、頑張ってね」


なに言ってるんよ


ほんとはお兄ちゃんだって泣きたいんだよ


遠くに声が届くぐらい泣きたいんだよ


ただ、私が弱いから


私が弱いから、お兄ちゃんは泣けないんだ





葬式やお通夜などが終り


私は学校に行った


皆は、私のお母さんが死んだ事は知らない


私は風邪と言って学校を休んでいた


でも、一人だけ知ってる奴がいる


「おい、春 シッケてんじゃねーよ」


クラスで一番人気があり、ガキ大将で、幼馴染な 黒多棗(くろた なつめ)


棗は私の机をちょっとガンッと蹴った


机に伏せていた私、だけど何だか話す気に慣れなくて無視をした


すると


「あ~ぁ、 クラスにこんなテンション低いやついたら鬱陶しいっつうの」


その言葉で


私の中の何かが切れた

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