12ホール
「そう言う問題では無いだろう?知る者が観れば…可能性が出てくる…」
麻幌を誘き出す為に少女が、再び危険に遇する事を紡衣が危惧する。

「持ち運びに便利だし…でも…そうだよな…」
紡衣の変わらない表情から、改めて危険性を感じた。

「…人形(ひとがた)だったんだな?」
紡衣が右眉を上げる。

「犯人だろ?見事にな…」
ポケットから、くしゃくしゃの紙切れを取り出す。

「見た事の無い札だな…」
受取った紡衣が札を凝視する。

「俺達が使う物とサイズも違うだろ?」
札に示されたのは、人形を呼び出す為の文字なのであろう。

「これは…」
残された文字に触れた紡衣が親指と人差し指をこすり合わす。

「墨でも血でも無い…」

「ああ…油を含んでいるのか?」
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