俺は先輩に夢チュー
「じゃあ、行ってきます。センパイ」
「はいはい。行ってらっしゃい」
名残惜しいけど、センパイとの約束だからねー。
ちなみに、センパイは授業が免除されているらしい。
授業に出てないのに、学年主席をキープできてるなんて、本当にセンパイはすごいと思う。
俺も、悪い方じゃないけど、センパイみたいにいい方でもない。
でも、俺が生徒会室に行ってもセンパイは仕事ばっかり。
大変なのは分かるけど、ちょっとは俺にも構ってほしいなぁ、とか思ったり。
別に、一生懸命なセンパイも好きだけど。
だから、今度のデートはめちゃくちゃ楽しみ。
「真人お帰りー。その顔はデートOKだったな?」
ニヤニヤしながら話しかけてきたのは、俺の唯一の親友の瀧川葵だ。
いつにもましてウザいな………。
「あぁ。あっさりOKしてくれて、俺の方が驚いた」
てっきり、断られるとばかり思っていた。
センパイは、イヤなことはイヤとはっきり言う人だ。
だから、約束してくれただけですごく嬉しい。
デートってことは、センパイ私服なんだよなー。
センパイの私服、どんなんだろー。
大人っぽいのもいいけど、カワイイのも似合うと思うなぁ、絶対。
「真人、お前かなりキモイぞ」
「うるせー。お前こそどうなんだよ。山瀬センパイは」
「聞いてくれよー。センパイってばさー」
……………始まった。
長くなるなと思いながらも、葵が幸せそうなのは分かった。
葵の話を聞きながら、俺は土曜日のデートのことを考えていた。