恋人ごっこ
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「ただいまー」


部屋の鍵を開け、扉を開いて第一声。
誰もいない部屋に向かって言う。
もちろん、誰からの返事もない。


「……ふう」


テーブルにカバンを置いて、キッチンの冷蔵庫を開ける。
中にあったお茶のペットボトルのキャップを開けて、直で飲んだ。


「…よし、と」


意味もなく掛け声をかけた。
一人暮らしは何かと独り言が増える。
それを嫌がる人もいるけど、あたしはまあ、それを聞く人がいないから別に気にしない。

あたしはペットボトルを冷蔵庫に戻し、ソファーまで歩いて、白いそれにダイブした。


「……」


一人で登下校するのも慣れた。
「慣れた」というのもなんだか変な感じがするが、それだけ彼に依存していたということだろうか。

前の日常に戻りつつある毎日。
明日で一週間。
あたしが前のあたしに戻るために課した、日数。

ちょうど明日は祝日で、由梨からデートの誘いがあったけど断った。
明日は昼まで寝てやる。


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