恋人ごっこ
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自覚はした。多分。
あたしは仙崎が好きなんだと思う、きっと。
多分とかきっとが語尾に付くのは、恋なんてしたことがないから。
どれが恋心なのか、ちゃんと理解していないから。


「仙崎はさ、恋したことある?
誰かと付き合ったことは?」


お昼休み終了間近、あたしは仙崎と並んで歩きながら唐突に聞いた。
すると、目を丸くしてこちらを見る彼と目が合った。


「なんですかいきなり」


「なんとなく思っただけ。いいよ別に答えなくても。」


あたしは顔を前に向ける。
目が合っただけで、心臓が跳ねたことに少しだけ驚いた。
前まではこんなことなかったのに、意識した瞬間、まるであたしの全細胞が変わったようだ。


「…恋はしたことありますよ、付き合ったこともそれなりに」


ボソッと呟くように言った彼の言葉に、あたしは「そっか」とだけ返した。


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