この空の下であなたはほほ笑む
「あ、あの…」
麗子は男性に恐る恐る近づいた。
歩きながら喋っていたので、その男性は麗子の声に気づいたらしく麗子の方を振り返った。
「…」
「あ、あの…。ご返却ならカウンターにお願いします。そのポストは、雨の日とか休館日用なので」
「…」
麗子が焦り混じりに聞いた。
でも向こうの男性はまじまじと全体を見るように麗子を見て、喋ろうとしなかった。
「……あの、聞いてますか?」
麗子はカチンと来て、少し強い口調で言った。
「…」
「…も、もういいです。返却ポストに返してくださ…」
「あのさ。」
言いかけたところに男性が割り込む様に口を開いた。
「あのさ、あなたってモテないでしょ」
「……はい?」
麗子は初めての言葉がこれなの。と思いながらも冷静さを保ちながら応えた。
「なんかさ、普通そんなの気にしなくない?カウンターでやるのかとか知らないけど、そういうの結構重いよ。」
「あ…あのね…」
麗子はその言葉にびっくりしながらも怒りを抑えきれず、怒鳴る様に言ってしまった。
「初対面のあなた何かに言われる筋合いないし、別にモテなくても結構。そんな事言うなら自分だってモテないでしょ」
はぁ。とため息をつき、フンっと顔を振ってカウンター戻ろうとした。
「はっ。……モテない…ね。面白い」
そう呟くと、麗子の右肩を引き寄せて麗子の唇を一瞬で奪った。
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