今夜も、私は夢の中で



―――――…。

『―――んっ、あ……』

『―――はぁっ……』

静かな部屋に響く、互いの吐息と、熱く火照った体。軋む、白く大きなベッド。

気付けば、求めるままに、求められるがままに、抱き合っていた。


『―――サキ…』

唇と唇が離れたあと、切なげに、私の名を呼んだ、その声の主は――――。

元カレだった。

今、一緒に暮らしている彼氏じゃなく、もう何年も前に別れた、元カレ。

すごく、すごく、好きだった。
ずっと、ずっと、忘れられなかった……。


『―――愛してるよ。サキ』

『―――うん…。私も……』

『今度こそ、ずっと一緒にいよう。もう二度と、離さないから』


優しく私を見つめる、その瞳。
カレの胸の中に引き寄せられ、ぎゅっと抱きしめられる。

懐かしく、愛しい温もりを感じながら、私も、カレの大きな背中に腕をまわした。


あぁ……、私、あなたと、また、一緒にいられるんだ。私、また……、あなたの隣で、笑うことができるんだね。

何だか、夢みたい。まるで、夢みたいだよ………。
< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop