サクラのハナビラ
戸惑う彼。




戸惑うあたし…。




…視線が重なった。





「泣くなよ…。」





あたし達は見つめ合ったまま動かなかった。





時間が止まればいいのに…。





そう思った瞬間、強い風が吹き抜け彼の手にあった英語のプリントがひらひらと舞い上がってしまった。




「あっ…!」




我に返ったあたしは急いでプリントを拾い上げた。




「じゃっ、じゃあね‥。何か教えてもらっちゃって‥ありがとね…。大学頑張って…。」




なんとかそう言い終えると彼のほうを見ずに出口へ走った。




「待って!!」




彼の声が聞こえた…。けど振り向かなかった…。



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