カノン
「好き、…です」
「!」
「ヒカリさんの事…
世界で唯一、愛してます」
「…っ…」
"唯一"という単語に頭が真っ白に なって…、
返す言葉が、出て来ない。
君は、1度 言ってしまったから、後は勢いで持って行こう とでも思ったのか、
そのまま間髪を入れずに、話を続けた。
「相手に されない って…何度も、思いました。
笑われるかも しれない とも、思って…
何度も…、諦めよう と しました。
でも…、
バカみたい だけど、
ヒカリさんは…、"運命の人"だって、今でも本気で思ってるんです。
もちろん、あたしが勝手に思ってるだけだ って、
ちゃんと、…分かってます。
でも あたしに とっては、
ヒカリさんは…唯一、だから……
この気持ちは直接 伝えないと、後悔するって思ったんです。
伝えたら、
後悔なく、ヒカリさんの事 諦められるから……」
今度は
話しているうちに溢れて来た涙に気付かれないように と 思ったのか、
君は そこまで言うと、くるっ と 踵を返した。
そして もう1度 振り返った時、
その顔に、見ている こっちの胸が締め付けられるような…痛々しい笑顔を貼り付けて、言った。
「一方的に自分の気持ちばかり押し付けちゃって、すみません。
でも…、
言いたい事 全部 言えたので、あたし自身は…
これで思い残す事は何も なくなりました 笑
ヒカリさん……
お元気で」
…切なく、悲しそうな笑顔で そう言って、
君は頭を下げた。
それから その顔を上げて、俺を見る事なく、
足早に立ち去ろう と、した。