花に、嵐
一気にエントランスを駆け抜けて、表通りに出れば途端に賑やかになる。

表に出て直ぐ、旺司郎は腕を離して先に歩き始めたから、慌てて後を追った。

「旺司郎待ってよ」

「んー、わかってるって。ちょいのど乾いたからジュース買ってくる」

「あ、そうなの？じゃあ、私も一緒に行くよ」

たしかに、走ったからか喉がカラカラだ。

「……美桜ちゃん来るんじゃねーの？待ってなくてもいいのかよ」

「………いいの」

唇を尖らせて、ふてくされ気味に答えれば、旺司郎の溜め息が聞こえた。

普段、朔ちゃん以外のことでは接点なんてなくて、ほとんど会うこともないのに、鋭い旺司郎がイヤだ。

美桜ちゃんは迎えには来ないって言ったのに、なんで気づくかな。


確かにさっきの電話で美桜ちゃんはあと20分もすれば着くからと言ってた。


来ても一緒に帰るつもりはなかったけど。

マンションにあのままいれば朔ちゃんに追い出されてただろうし、美桜ちゃんと朔ちゃんを引き合わせてしまうことになってただろう。















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