花に、嵐
「…久しぶりね、旺ちゃん。げ、元気だった?」

美桜ちゃんが戸惑いながらも声をかける姿に、今更ながら罪悪感がわき上がる。

「元気。みんな元気だよ」

「……そう」

「………」

「………」

まずい。

この状態を作ったのは自分とはいえ、空気が重い!

これはもうさっさと帰るに限る!

「み、美桜ちゃん!帰ろう!」

「え?あ、うん」

美桜ちゃんの手を掴んで駅に向かって早足で進む。

少し後ろをゆっくりと旺司郎が着いてきていた。

たぶん、わざと距離をあけるために。

……あとで謝ろう。

旺司郎にはいろいろ迷惑かけちゃったし。

そんなことを考えながらひたすら駅へと歩き、改札を抜けてホームに着いた頃にはもう旺司郎の姿はなかった。



< 69 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop