叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



名残惜しいけれど、手を放す。


ぐっと寂しさが押し寄せた。



「じゃあな」


『うん……』



うなずいたけれど、なかなか歩き出さない相沢。


うつむいてて、目線を合わせてくれない。



「相沢、また学校が始まれば会えるから」


『うん……』



駄々をこねるような相沢の仕草に微笑ましくなる。


本当に。
困るぐらい、可愛いな……。


やれやれと、相沢の頭に手を伸ばして優しく触れる。


触れたところから、緊張感が来る。


けど、じんわりとそれも幸せに溶けていった。



「じゃあね」


『うん……』



今度こそうなずいた相沢は家の方に歩いて、中に入って行った。


……ちゃんと仲直りしろよ。


そう心の中でつぶやいて、俺は家路へと歩いた。



< 200 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop