SトロベリージャM
~Side 実野里~


そう気付いたときには、勝手に身体が動いていた。


一刻も早く、この部屋から出たいという思いしか浮かばなかった。


悲しさと悔しさ、惨めさ、嫉妬・・。


こんな黒く汚れた思いだけが、一気に自分の中で溢れたのは初めてだった。


大地にだけは見せたくなかった。


ドアの方に足早に向かう途中、誰かに腕を掴まれた。


(大地!?)


そう思ったが、わたしの腕に掛かっていたのは、白く細い鞠菜の手だった。


わたしは、目を見開いて鞠菜を見た。


「あの・・。わたしも諦めないですから、実野里さんも諦めないでください。」


(アナタハ、ナニヲ、アキラメナイノ?)


そう問いかける余裕もなく、その呪文は、廊下を走るわたしの脳裏を侵食していった。


(わたしは、もうここにいない方がいいのかもしれない。)


(だけど、それじゃあ、壊されるのを黙って見ていることになるのよ。)


自分の中に存在する2つの思いが、激しく戦っていた。


1人が問いかけてきた。


(もう、大地に会えないの?)

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