SトロベリージャM
(えっ!?ダ・・ダイ?)


ダイは、実野里を抱きしめていた。


「すまない・・怒鳴ったりして・・俺は、自分の過去も今も嫌になるときがあるんだ。それに、今のお前のこと何も知らないのに、こんなふうに慰める権利もないよな・・。」


抵抗しなければいけないと思っていても、実野里はできなかった。


しばらくの間、実野里はダイに抱きしめられていた。




「あ・・あの・・ダイ、今のわたしって?」


(じゃあ、過去のわたしを知っているってこと?)


ダイは、抱きしめた腕を緩めながら、宙を見つめて言った。


「あ・・あぁ、今日、初めて会ったのにってことだ。深い意味はないから気にするな。とにかく、すまなかったな、カジミノ。」


(は・・はぁ!?カジミノ??)


「何それ、肉の部位の名称?」


「違う、お前の呼び方だ。名字が長すぎるんだ。かじやたにみのりだから、略してカジミノだ。ミノよりかはマシだろ?」


「全然、可愛くないんですけど・・しかも、こんなことばれたら、社長にクビにされちゃいます。」


拗ねた実野里を見たダイが笑い出した。


「大丈夫。これは、恋愛感情じゃなくて、同情だから。」


つられて実野里も笑った。


これが、わたしたちの出会いだった。

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