ゆるふわなキミ


抱きしめられてる感覚が、体温が心地よくて、なんだか離れがたいと思ってしまって、そのまま何も話さず抱きしめられてた。
話に集中するのがもったいないと思ってしまって、目を閉じて身を任せていた。
我に返ったのは、カラオケの退出5分前の電話。
ゆるふわが離れて電話に出て、少し寒くなった自分の体。

――な、な、な、何やってんだ私!?

かぁぁ……!と体が熱くなって、きっと顔も真っ赤。声には出さなかったけどずっとあわあわ言ってた。

「も、もう帰る!!」

ようやく出た言葉。慌てて財布からお金をてきとーに出して、ゆるふわの言葉を待たずにダッシュで部屋から出た。

わー!わー!!わー!!!わー!!!!

頭の中でずっと叫びながら走る。今日は寒いはずなのにあっつい!顔触ってもあっつい!見なくてもきっとわかる。顔真っ赤!

うわー!うーあー!うーわぁぁあー!!

もう何も考えられなくてでもジタバタ体動かさないとどうしようもない状態で、そう、混乱!これ混乱!
ゆるふわがあったかくて、何だか心地良くて、その、なんてゆーか、は、離れたくないとかおかしいだろだってあのゆるふわだよ私しっかりしろ!
ぱちん!と両頬を叩いた。
辺りを見てみたら、カラオケのあった場所からはかなり離れた所。
――何も変わらない町並みに少しホッとした……

私は……だって……私……

頬が熱い。叩いたせい?ううん。多分違う。
原因は、思い出すからだ……

ゆるふわはまだカラオケにいるのかな……

あの言葉は嫌いなのに。嫌だったのに。どうして……?
思い出すのは言葉。表情。温もり……

ほっぺただけじゃなくて。
体全部が火傷しそうなくらい熱い……
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