どうしようもない幼なじみに…



 私が言うと、大和は「それもそうか」とあっさり納得する。

 私は浴衣を着直してドアを開けた。

 ドアを開けると、そこにいたのは今川さんだった。

「あー、すまんのぉ桃花ちゃん。フロントの兄ちゃんに聞いて部屋を教えてもろたんや」

 今川さんはそう言って頭を掻いた。

「あ、そうなんですか。…で、何の用なんですか?」

 私が聞くと、今川さんは「あ、そうや。話があるんや」と言った。

「ここに大和のアホは来とらんか?」

 私は部屋の中を見て、今川さんを見た。

「来てますよ。あ、早く大ちゃん――じゃなくて、大和を引き取ってください!」

 私が言うと、今川さんは「やっぱり来とったんかい」と言って部屋にズカズカと入って行った。

「ちょっ…離せよ」

 五分後、今川さんに服の襟を掴まれた大和が部屋から出てきた。

「ったく、なんで二回も今川さんに邪魔されんだよ」

 大和が毒づいているのが聞こえた。

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