私だけの王子様
私だけの王子様

王子様から愛の告白

「僕の彼女になりませんか?」


涼しげな風が頬にひんやりと伝わる。もう夏はすぐそこなのに、こんなに風が冷たくていいのだろうか?今年の夏は涼しいの?

ううん。
風が冷たいんじゃない。
きっと私の顔が冷や汗を流してるから風が冷たく感じるんだ・・・。

冷や汗の理由はコレだ。
目の前には学校で一番カッコよくて、おまけにお金持ちで性格良しの王子様的な存在の立花悠斗がいるのだから。

それに目の前に居るだけじゃない。
今「僕の彼女になりませんか?」と言って来たのだから冷や汗も自然に出ておかしくない。


「あの・・・千夏ちゃん?嫌でしたよね・・・」


眉を八の字にして苦笑いをする、立花くん。
そんな表情さえキラキラして見えるのは、やっぱり王子様的な存在だからかな?
でも・・・こんなにカッコよくて皆がキャーキャー騒ぐ程の人なのに私の胸は、ときめいたりはしない。

それに私の胸には、たくさんの疑問で詰っている。

どうして私にこんな事を言うの?
私のどこが良いの?
私と接点なんかあった?
私を彼女にしても良いの?
それに何で私の名前を知ってるの?


確かにさっき「千夏ちゃん」と立花くんは私の名前を呼んだ。
確かに私の通う高校で一番カッコイイ男の子だけど・・・。
私と立花くんは接点もないし、話した事すらないのだから・・・。
なのに私の名前をどこで知ったんだろう?


「立花くん・・・どうして私の名前を知ってるの?」

「僕の彼女になりませんか?」の返事なんかよりも今はこの疑問の方が優先だと思った。

「僕・・・ずっと千夏ちゃんの事を見てましたから。ずっと僕・・・千夏ちゃんに片思いをしてたんです。」


少し照れくさそうに答える立花くんの顔はカッコイイとは思うけど恋するまでには至らなかった。


「どうして・・・私を知ったの?」


ずっと私を見てたって事は・・・何か私と接点があったのかな?自分では思いだせない。


「高校の入学式の時に千夏ちゃんを見て一目惚れしてしまったんです・・・!」


なんてベタな惚れ方なんだろう。そう思ったけど、何より学校の王子様が私に惚れるなんて予想外にも程がある。


「立花くん・・・ありがとう。でも・・・。」
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